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輸液の【ビタミンB1】は何mg?食事摂取基準と合わせて詳しく解説!

輸液ービタミンB1ー
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高カロリー輸液のみで栄養を補給している場合、食事でいえば何mgのビタミンが摂取できているのか知りたいと感じることがあると思います。そこで、輸液におけるビタミンB1はどれにあたるのか、輸液のビタミンB1の基準量はいくらなのか、実際に使われている高カロリー輸液には何mg含有されているのか紹介していきます。

高カロリー輸液の【ビタミンB1】は何mg?

  高カロリー輸液の添付文書からビタミンB1を探す場合、チアミン塩化物塩酸塩チアミン硝酸塩がビタミンB1にあたります。チアミンとしてという記載がある場合もあります。

エルネオパNFを例にあげるとエルネオパNF2000はチアミンとして6mg含有しています。

輸液のビタミンB1量は何が基準?

輸液のビタミン量の基準は、2000年にFDA(米国食品医薬品局)が発出したFDA2000処方が広まっており、これに準拠し作られたものが多いです。また、微量元素に関しては米国のA.S.P.E.N.(米国静脈経腸栄養学会)のガイドラインや、欧州のESPEN(欧州臨床栄養代謝学会)のガイドラインを準拠し作られていることが多いです。

 FDA2000処方ではビタミンB1は6mgとなっています。よく使われる高カロリー輸液である、エルネオパNFワンパルFDA2000処方に準じたビタミンを配合しています。

チアミンとチアミン塩酸塩、チアミン硝酸塩

ビタミンB1の化学名はチアミンですが、食事摂取基準はチアミン塩酸塩量がビタミンB1として設定されています。

輸液の添付文書にチアミンとしての記載がない場合にチアミンとしての量を知りたい場合は、それぞれの分子量同士で割ると計算できます。

 分子量
チアミン塩酸塩 (チアミン塩化物塩酸塩)337.3
チアミン硝酸塩327.4
チアミン265.3
チアミン塩酸塩(チアミン塩化物塩酸塩)→チアミン
265.3(チアミン分子量) / 337.3(チアミン塩酸塩分子量)
=0.787
チアミン硝酸塩→チアミン
265.3(チアミン分子量) / 327.4(チアミン硝酸塩分子量)
=0.81

以上のようにして計算すると、算出できます。つまり、

チアミン塩酸塩×0.78=チアミン量
チアミン硝酸塩×0.81=チアミン量

でチアミン量が算出できます。

食事摂取基準と比べたい場合は、チアミン塩酸塩のままでいいですが、FDA2000処方に合わせたい場合はチアミン量を算出すると良いです。

チアミン塩酸塩1g       = チアミンとして 約7.87mg
チアミン硝酸塩1g        = チアミンとして 約811mg
ジベンゾイルチアミン塩酸塩1g =  チアミンとして 約456mg

食事摂取基準におけるビタミンB1

 食事摂取基準ではビタミンB1の推奨量成人男性70歳以上で1.2mg成人女性70歳以上で0.9mgとなっています。

食事摂取基準ではビタミンB1の推定平均必要量は、

チアミンとして     :0.35mg/1000kcal
チアミン塩酸塩量として :0.45mg/1000kcal

とされています。

ビタミンB1は、エネルギー代謝に関わるビタミンであることから、必要なエネルギー量当たりのビタミンB1量と、尿へ出ていくビタミンB1量との関係を加味して推定平均必要量が算定されています。

欠乏症

 ビタミンB1欠乏症は、脚気やウェルニッケ-コルサコフ症候群があります。

過剰症

過剰症では、頭痛、いらだち、不眠、速脈、脆弱化、接触皮膚炎、かゆみなどの症状が現れます。

ビタミンB1の必要量の求め方

 水溶性ビタミンは、必要量を超えると、急激に尿中排泄量が増大します。これに基づき、尿中にビタミンB1の排泄量が増大し始める摂取量を、推定平均必要量としています。つまり、ビタミンB1の推定平均必要量は、欠乏症である脚気を予防するに足る最小必要量ではなく、尿中にビタミンB1の排泄量が増大し始める摂取量(体内飽和量)から算定されています。

それぞれの年齢の推定エネルギー必要量に乗じて推定平均必要量が算出され、推定平均必要量に1.2を乗じた値が推奨量となっています。

耐用上限量、過剰摂取について

ビタミンB1は耐用上限量は設定されていません。 

通常の食事を摂取している人で過剰摂取による健康障害が生じたという事例の報告はないそうです。

 しかし、一日に体重1㎏に対して50mg以上(60㎏の人が3000mg以上)のチアミン塩酸塩を慢性的にとると様々な毒性を示唆する臨床症状を示すことが報告されています。

10gのチアミン塩酸塩を2週間半、毎日飲み続けたら、頭痛、いらだち、不眠、速脈、脆弱化、接触皮膚炎、かゆみが発生するも、摂取をやめると、2日間で症状が消えたことが報告されています。しかしながら、耐容上限量を算定できるデータは十分ではなかったので、設定されていません。

さらに詳しく知りたい方は、下記のURLより食事摂取基準を読んでみて下さい。

https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf

それぞれの輸液の内容量

輸液にビタミンB1がどれだけ入っているか、ここでは高カロリー輸液のエルネオパNFワンパルのビタミンB1量を表にしました。

 エルネオパNF1号1000エルネオパNF1号1500エルネオパNF1号2000エルネオパNF2号1000エルネオパNF2号1500エルネオパNF2号2000
チアミン塩酸塩(mg)3.845.767.683.845.767.68
チアミンとして(mg)3.04.56.034.56
 ワンパル1号 800ワンパル1号 1200ワンパル2号 800ワンパル2号 1200
チアミン塩化物塩酸塩(mg)4646
チアミンとして(mg)3.1484.7223.1484.722

エルネオパは2000mlで各種栄養素が補給できる計算になっているので、エルネオパNF(1号2号とも)2000mlでチアミンとして約6mg補給できます。ワンパルは1600mlで1日に必要とされる熱量、アミノ酸、ビタミン及び微量元素を補給できる輸液になっているので、ワンパル(1号2号とも)1600mlで6.3mg補給できるようになっています。

まとめ

・ビタミンB1の化学名はチアミンである。

・食事摂取基準のビタミンB1量は、チアミン塩酸塩量を、FDA2000処方ではチアミン量を示している。

・チアミン塩酸塩×0.78=チアミン量

・ チアミン硝酸塩×0.81=チアミン量

他ページにて他の栄養素についても解説していますので、ご覧下さい。

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