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高カロリー輸液【ビタミンB2】は何mg?食事摂取基準と合わせて詳しく解説!

輸液ービタミンB2ー

 高カロリー輸液のみで栄養を補給している場合、食事でいえば何mgのビタミンが摂取できているのか知りたいと感じることがあると思います。そこで、輸液におけるビタミンB2はどれにあたるのか、輸液のビタミンB2の基準量はいくらなのか、実際に使われている高カロリー輸液には何mg含有されているのか紹介していきます。

高カロリー輸液【ビタミンB2】は何mg?

ビタミンB2の化学名はリボフラビンです。

高カロリー輸液の添付文書からビタミンB2を探す場合、リボフラビンリン酸エステルナトリウムがビタミンB2にあたります。リボフラビンとしてという記載がある場合もあります。

エルネオパNFには2000mlで3.6mgリボフラビンとして含有しています。

輸液のビタミンB2量は何が基準?

 

輸液のビタミン量の基準は、2000年にFDA(米国食品医薬品局)が発出したFDA2000処方が広まっており、これに準拠し作られたものが多いです。また、微量元素に関しては米国のA.S.P.E.N.(米国静脈経腸栄養学会)のガイドラインや、欧州のESPEN(欧州臨床栄養代謝学会)のガイドラインを準拠し作られていることが多いです。

 FDA2000処方ではビタミンB2は3.6mgとなっています。よく使われる高カロリー輸液である、エルネオパNFワンパルFDA2000処方に準じたビタミンを配合しています。

ビタミンB2の食事摂取基準

 食事摂取基準ではビタミンB2の推奨量成人男性70歳以上で1.3mg成人女性70歳以上で1.1mgとなっています。

食事摂取基準(ビタミンB2)
日本人の食事摂取基準(2020 年版)

ビタミンB2の必要量の求め方

 ビタミンB2の必要量を求めるには、2つの方法があり、それぞれの方法から算出される値は異なります。

①欠乏症から回復するのに必要な最小量

②急激に尿中ビタミンB2排泄量が増大する量 

→ビタミンB2の推定平均必要量推奨量はビタミンB1と同じく、②の方法から算定されています。

急激に尿中ビタミンB2排泄量が増大する量

 水溶性ビタミンは、必要量を超えると、急激に尿中排泄量が増大します。これに基づき、尿中にビタミンB2の排泄量が増大し始める摂取量を、推定平均必要量としています。

ビタミンB2はエネルギー摂取量が2200kcalの人で、1.1mg/日の摂取量を超えると、尿中への排泄量が増大するそうです。ビタミンB2はエネルギー代謝に関与する栄養素であることから、0.5mg/1000kcalが推定平均必要量の基準となり、これをそれぞれの年齢の推定エネルギー必要量に乗じて推定平均必要量が算出され、推定平均必要量に1.2を乗じた値が推奨量となっています。

欠乏症

 ビタミンB2の欠乏症には、口内炎、口角炎、舌炎、脂漏性皮膚炎、角膜炎などがあります。(皮膚や粘膜の機能を正常に保つことに関係しているから)。相対生体利用率は、64%とされています。

過剰症

ビタミンB2は身体に必要な量を超えて摂取しても尿中排泄量が増大するので過剰症を心配する必要が少ないとされています。食事摂取基準では毎日ビタミンB2を400mg、3か月間摂取しても健康障害がなかった報告から耐容上限量も設定されていません。食事摂取基準の推奨量よりFDA2000処方の方が2.2倍程多いですが、上記のことから特に問題ないであろうことが分かります。

さらに詳しく知りたい方は、下記のURLより食事摂取基準を読んでみて下さい。

https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf

リボフラビン、リボフラビンリン酸エステルナトリウム

 ビタミンB2の化学名はリボフラビンですが、輸液にはリボフラビンリン酸エステルナトリウムとして含有されています。食事摂取基準もリボフラビン量をビタミンB2として算出しています。

リボフラビンリン酸エステルナトリウム→リボフラビンの計算方法

分子量同士で割ると計算できます。

なぜリボフラビンリン酸エステルナトリウムなのか

 リボフラビンは水溶性であり、有機溶媒には溶けにくい物質ですが、リボフラビンは水に 0.025 % しか溶けません。そのため水溶性を500倍にしたリン酸エステルが栄養飲料などに利用されています。また、酪酸エステルは油脂に溶解する性質があるため、マーガリンなどに利用されています。

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リボフラビンは水に溶けにくいため、リン酸エステル化して含有しているのですね。

リボフラビンリン酸エステルナトリウム→リボフラビン計算方法

輸液の添付文書にリボフラビンとしてという記載があれば、それを確認すればよいですが、記載がない場合は、それぞれの分子量同士で割ると計算できます。

 分子量
リボフラビンリン酸エステルナトリウム478.33
リボフラビン376.37
リボフラビンリン酸エステルナトリウム → リボフラビン
376.37(リボフラビン分子量) / 478.33 (リボフラビンリン酸エステルナトリウム分子量
=0.787

以上のように計算すると、算出できます。つまり、

リボフラビンリン酸エステルナトリウム×0.787でリボフラビン量が出てきます。

リボフラビンリン酸エステルナトリウム → リボフラビン

リボフラビンリン酸エステルナトリウム×0.787

=リボフラビン量

それぞれの輸液の内容量

輸液にビタミンB2がどれだけ入っているか、ここでは高カロリー輸液のエルネオパNFワンパルのビタミンB2量を表にしました。

 エルネオパNF1号1000エルネオパNF1号1500エルネオパNF1号2000エルネオパNF2号1000エルネオパNF2号1500エルネオパNF2号2000
リボフラビンリン酸エステルナトリウム
(mg )
2.33.454.62.33.454.6
リボフラビンとして(mg)1.82.73.61.82.73.6
 ワンパル1号 800ワンパル1号 1200ワンパル2号 800ワンパル2号 1200
リボフラビンリン酸エステルナトリウム
(mg )
2.53.752.53.75
リボフラビンとして(mg)2.03.02.03.0

エルネオパNFは2000mlで各種栄養素が補給できる計算になっているので、エルネオパNF(1号2号とも)2000mlでリボフラビンとして約3.6mg補給できます。ワンパルは1600mlで1日に必要とされる熱量、アミノ酸、ビタミン及び微量元素を補給できる輸液になっているので、ワンパル(1号2号とも)1600mlでリボフラビンとして4mg摂取できるようになっています。

まとめ

・ビタミンB2の化学名はリボフラビンである

・輸液にはリボフラビンリン酸エステルナトリウムで配合されている。(リボフラビンは水に溶けにくいから)

・リボフラビンリン酸エステルナトリウム×0.787 =リボフラビン量

他ページにて他の栄養素についても解説していますのでご覧ください。

輸液の【ビタミンB1】は何mg?食事摂取基準と合わせて詳しく解説!
栄養士が輸液を確認する時、ビタミンB1はチアミン塩酸塩です。それぞれの栄養素が輸液にどれくらいの量入っているのか、添付文書だけではわかりにくいため、栄養士が分かりやすいmgやgで認識できるようにしました。

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