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高カロリー輸液の【ビタミンA】配合量は?食事摂取基準と合わせて詳しく解説!

輸液ービタミンAー

 高カロリー輸液のみで栄養を補給している場合、食事でいえば何mgのビタミンが摂取できているのか知りたいと感じることもあると思います。そこで、輸液におけるビタミンAはどれにあたるのか、ビタミンAの単位について、輸液のビタミンAの基準量はいくらなのか、実際に使われている高カロリー輸液には何mg含有されているのか紹介していきます。

高カロリー輸液の【ビタミンA】配合量は?

高カロリー輸液の添付文書からビタミンAを探す場合、ビタミンA油がビタミンKにあたります。

エルネオパNFには2000mlで3300ビタミンA単位、含有しています。

ビタミンA単位とは?

 添付文書を確認し、【成分:ビタミンA油 :1650ビタミンA単位】と記載があります。ビタミンA単位って何、、と思いますよね。ビタミンA単位とは「IU」のことのようです。エルネオパNFを例に上げると2000mlで3300ビタミンA単位と記載されているので、3300IUということになります。

輸液のビタミンAは何が基準?

輸液のビタミン量の基準は、2000年にFDA(米国食品医薬品局)が発出したFDA2000処方が広まっており、これに準拠し作られたものが多いです。また、微量元素に関しては米国のA.S.P.E.N.(米国静脈経腸栄養学会)のガイドラインや、欧州のESPEN(欧州臨床栄養代謝学会)のガイドラインを準拠し作られていることが多いです。

 FDA2000処方ではビタミンAは1mgとなっています。よく使われる高カロリー輸液である、エルネオパNFワンパルFDA2000処方に準じたビタミンを配合しています。

ビタミンAの食事摂取基準

 ビタミンAは、体重1㎏当たり、1日に9.3μgRAE摂取することでビタミンA欠乏症状を示さないで肝臓内ビタミンA貯蔵量の最低値を維持できるという計算に基づき、推定平均必要量が算出されています。

推奨量は個人間の変動係数を20%と見積もり、推定平均必要量に1.4をかけたものになっています。ちなみに30-49歳男性で推奨量は900μgREAです。

食事摂取基準(ビタミンA)
日本人の食事摂取基準(2020 年版)

食事摂取基準におけるビタミンAの単位

ビタミンAは、レチノイドといいます。体内でビタミンA活性をもっている化合物はレチノールやレチナール、β-カロテンなど50種類ほど知られています。これらは同じような機能をもった成分ですが、それぞれの効力は同等ではないため、成分の相当量として、【レチノール活性当量(RAE)】と表記されます。

 詳しいことは知りたい方は食事摂取基準の中身を読んでみてほしいのですが、植物性のβカロテン、αカロテン、クリプトキサンチンは体内でレチノールに変化してからビタミンA効果を発揮するため、プロビタミンA(ビタミンAの前駆体)と呼ばれています。

 ビタミンAを考える時に、レチノールに対して、プロビタミンAは活性量が違うため、レチノール+βカロテン+、、と単純に合計していけばよいのではなく、それぞれの活性量に準じた量を合計する必要があり、レチノールが体内でビタミンAとして効力を発揮する合計量が記載されています。

ビタミンAの欠乏症 

レチノールとレチナールは網膜細胞の保護作用や視細胞における光刺激反応に重要な物質です。そのため、ビタミンAが欠乏すると、乳幼児では角膜乾燥症から失明に至ることもあります。成人では案順応障害が生じ、夜盲症になることがあります。また、皮膚でも乾燥、肥厚、角質化が起こります。

ビタミンAの過剰症

過剰症として頭痛が知られています。

ビタミンAの過剰摂取による臨床症状では頭痛が特徴である。急性毒性では脳脊髄液圧の上昇が顕著であり、慢性中毒では、頭蓋内圧亢進、皮膚の落屑、脱毛、筋肉痛が起こる

日本人の食事摂取基準2020年度版より

詳しく知りたい方は、以下のURLからご確認下さい。

https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf

ビタミンA単位(IU)→mgに変換

「輸液の添付文書」「FDA2000処方」「日本人の食事摂取基準」すべてのビタミンAの単位が違うことが分かりました。輸液のビタミンA単位をmgに変換していきます。

①IU→μgに変える式
レチノール (IU)×0.3=(μg)

μg→IUに変える式(①の逆)
μg×3.33=(IU)
②μg→mgへの変換
  1μg=0.001mg 

①の式でμg ②の式でmgが算出できますね。 

エルネオパNF2000mlを例に計算してみましょう。エルネオパNF2000mlでビタミンAは3300IUです。

3300IU × 0.3 = 990μg
990μg × 0.001= 0.99mg
         ≒ 1mg

エルネオパNFは2000mlで1㎎のビタミンAが配合されているということになります。

食事摂取基準でいうと、990μgRAE配合されているということになります。

食事摂取基準の単位であるμgRAEとは、それぞれのビタミンAやプロビタミンAの活性量に合わせて計算されるため、この単位になっていますが、輸液で入ってくるビタミンAは活性量にばらつきはないため、そのままμgで出した値がμgRAEと同等に扱いました。

食事摂取基準のμgRAE = 輸液のビタミンAのμg 

ということですね。

この式にそれぞれの輸液の添付文書にあるビタミンAを当てはめるとmgで算出できます。

それぞれの輸液の内容量

上記の式に当てはめると、それぞれの輸液に配合されているビタミンAをレチノール活性当量とmgに変換することができます。ここでは、高カロリー輸液のエルネオパNFワンパルのビタミンA量を表にしました。

 エルネオパNF1号1000エルネオパNF1号1500エルネオパNF1号2000エルネオパNF2号1000エルネオパNF2号1500エルネオパNF2号2000
ビタミンA単位(IU)165024753300165024753300
μg(REA)495742.5990495742.5990
mg0.4950.74250.990.4950.7430.99
 ワンパル1号 800ワンパル1号 1200ワンパル2号 800ワンパル2号 1200
ビタミンA単位(IU)1650247516502475
μg(REA)495742.5495742.5
mg0.4950.74250.4950.743

エルネオパNFは2000mlで各種栄養素が補給できる計算になっているので、エルネオパNF(1号2号とも)2000mlでビタミンAは約1mg補給できます。ワンパルは1600mlで1日に必要とされる熱量、アミノ酸、ビタミン及び微量元素を補給できる輸液になっているので、ワンパル(1号2号とも)1600mlで約1mg摂取できるようになっています。

まとめ

・ビタミンA単位はIUである。

・IU×0.3=μgで、これに1000をかけるとmgが出る。

添付文書、FDA2000処方、食事摂取基準とそれぞれ、ビタミンAの単位が違うことでややこしく感じますが、1つ1つ計算することで理解できました。

他ページにて、他の栄養素についても記載していますので、ご覧下さい。

高カロリー輸液【ビタミンD】は何μg?食事摂取基準と合わせて詳しく解説!
栄養士が輸液を確認する時、ビタミンDはコレカルシフェロールです。それぞれの栄養素が輸液にどれくらいの量入っているのか、添付文書だけではわかりにくいため、栄養士が分かりやすい単位で確認できるようにしました。

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