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高カロリー輸液【ビタミンD】は何μg?食事摂取基準と合わせて詳しく解説!

輸液ービタミンDー

高カロリー輸液のみで栄養を補給している場合、食事でいえば何mgのビタミンが摂取できているのか知りたいと感じることもあると思います。そこで、輸液におけるビタミンDはどれにあたるのか、輸液のビタミンDの基準量はいくらなのか、実際に使われている高カロリー輸液には何mg含有されているのか解説します。

高カロリー輸液【ビタミンD】は何μg?

高カロリー輸液の添付文書からビタミンDを探す場合、コレカルシフェロールがビタミンDにあたります。

エルネオパNFには2000mlで5μg配合されています。

輸液のビタミンD量は何が基準?

 

輸液のビタミン量の基準は、2000年にFDA(米国食品医薬品局)が発出したFDA2000処方が広まっており、これに準拠し作られたものが多いです。また、微量元素に関しては米国のA.S.P.E.N.(米国静脈経腸栄養学会)のガイドラインや、欧州のESPEN(欧州臨床栄養代謝学会)のガイドラインを準拠し作られていることが多いです。

 FDA2000処方ではビタミンDは5μgとなっています。よく使われる高カロリー輸液である、エルネオパNFワンパルFDA2000処方に準じたビタミンを配合しています。

ビタミンDの食事摂取基準

食事摂取基準でのビタミンDの目安量成人男性で8.5μgです。

食事摂取基準ビタミンD
日本人のための食事摂取基準2020年度版

ビタミンDが豊富に含まれる食品

きのこ類(エルゴカルシフェロール【ビタミンD2】)

魚肉魚類の肝臓(コレカルシフェロール【ビタミンD3】)

ビタミンDの供給源

  ・食品や輸液からの摂取

  ・皮膚に紫外線が当たることで生成される

ビタミンDの機能

 腸管や腎臓でカルシウムとリンの吸収を促進し、骨の形成と成長を促す。

欠乏症

 小児:くる病

 成人:骨軟化症 

腸管からのカルシウム吸収の低下と腎臓でのカルシウム再吸収が低下

  ↓

低カルシウム血症

 ↓

二次性服甲状腺機能亢進症

 ↓

骨吸収の亢進

 ↓

小児:くる病 成人:骨軟化症
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ビタミンDが欠乏することで、小腸や腎臓でのカルシウム吸収量が減少し、体内でのカルシウム利用が低下することで、くる病骨軟化症を発症します。

過剰症と耐容上限量

 過剰症には高カルシウム血症腎障害軟組織の石灰化障害などが知られています。

 多量のビタミンD摂取を続けると上記のような障害が起こるとされており、日本人の耐用上限量は、アメリカ・カナダの食事摂取の耐容上限量に不確実性因子を2.5として、耐容上限量は100μg/日となっています。

ビタミンDの目安量

アメリカ・カナダの食事摂取基準ではビタミンDの推奨量として、70歳以下15μg/日 75歳以上が20μg/日となっています。しかし、これらの値は日照による皮膚でのビタミンD産生を考慮していないため、この値から皮膚で作られるビタミンDを引いて目安量として設定されています。

 しかし、紫外線の照射は、地域や季節にも大きく影響を受けるため、冬の札幌で最大限に見積もって5μg程度という値を引用して、15μg-5μg=10μg/日が1日の必要量ではないかと考えられました。

 そうなると、10μg/日が目安量に設定されそうですが、なぜ8.5μg/日になったのでしょうか

なぜ8.5μg/日になったのか

 ビタミンDは日によって摂取量がばらつきやすい栄養素です。総摂取量の8割近くが魚介類に由来するため、魚介類を食べない日は摂取量がとても少なくなるという特殊な栄養素です。また、季節によっても摂取量にばらつきが出るため、現実可能性に鑑みた目安量の設定が必要と考えられ、全国4地域における調査の中央値の平均が8.3μg/日であったため、これを丸めて8.5μg/日が目安量となっています。

haru
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アメリカ・カナダの食事摂取基準と日照時間を加味して必要量は10μg/日としたけど、

食事内容、季節、地域によって摂取量にばらつきのでる栄養素であることから、調査の平均値が目安量に設定されたということですね。

さらに詳しく知りたい方は日本人の食事摂取基準2020年度版を参照ください。

日本人の食事摂取基準(2020年度版)https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf

それぞれの輸液の内容量

それぞれの輸液の添付文書のコレカルシフェロールの欄を確認すれば、ビタミンD量が確認できます。ここでは、高カロリー輸液のエルネオパNFワンパルビタミンD量を表にしました。

 エルネオパNF1号1000エルネオパNF1号1500エルネオパNF1号2000エルネオパNF2号1000エルネオパNF2号1500エルネオパNF2号2000
ビタミンD(μg)2.53.7552.53.755
 ワンパル1号 800ワンパル1号 1200ワンパル2号 800ワンパル2号 1200
ビタミンD(μg)2.53.752.53.75

エルネオパNFは、2000mlで各種栄養素が補給できる計算になっているので、エルネオパNF(1号2号とも)2000mlでビタミンDが5μg補給できます。ワンパルは1600mlで1日に必要とされる熱量、アミノ酸、ビタミン及び微量元素を補給できる輸液になっているので、ワンパル(1号2号とも)1600mlでビタミンDが5μg補給できるようにつくられています。

まとめ

・輸液の添付文書において、ビタミンDはコレカルシフェロールで記載されている。

・エルネオパNFとワンパルは共に5μgのビタミンDが補給できるように作られており、FDA2000処方の値と同じである。

・ビタミンDは紫外線の作用により、皮膚でかなりの量のビタミンDが産生される。(個人差があり、日照の機会が極めて乏しい場合ではれば目安量以上の摂取が必要となる可能性もあるという記載もある)

以上のことが分かりました。患者様の輸液管理に役立てば幸いです。他ページに、他の栄養素についても記載していますので、ご覧ください

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