医歯薬出版株式会社より出版されている臨床栄養の3月号は「病院給食システムの新たな展開をめざしてー変革のために何が必要か?」という題で病院給食システムの問題と今後について書かれています。
現在の給食経営は、給食の赤字、原材料費の高騰、人材の確保、など、挙げればきりがないほど問題が山積しています。
今月号を読むことで、改めて危機意識を持ったので、読んだ感想や考察を共有したいと思います。
赤字、人材不足、原材料の高騰~病院給食の限界~
病院・施設での給食業務の課題は多くあり、「うちは問題ゼロです」という方は少ないのではないかと思います。当院でも給食に問題と不安を抱えており、常に試行錯誤しています。2022年の3月という年度末号で現状の給食業務の問題点について詳しく記載されており、たくさんの学びがありました。
今月号の内容
2020年10月に設立された、一般法人ヘルスケアフードサービスシステム協会(HFSA)の理事の先生方が給食部門の現状と、問題解決のためにどうすべきか述べられています。
→給食経営は悪化しているが、改善の見込みはないため、抜本的な改革が必要であるということで、これからの給食システムに新しい標準を提言するために一般法人ヘルスケアフードサービスシステム協会(HFSA)が設立されたそうです。
給食業界の現状
2017年に行われた全国の医療施設を対象にした給食部門収支調査から、収支が大幅に悪化しています。
給食形態 患者1人1日当たりの赤字
臨床栄養2022.3より
全面委託 :661円
一部委託 :757円
完全直営 :706円
収支悪化の理由
・食材料費の上昇
・人件費の上昇(最低賃金の上昇、就労者の高齢化により、生産性ダウンによる人件費の増加)
入院時食事療養費の評価見直しの見込みがない
病院給食の収入はほぼ30年間変わっていませんが、食材費や人件費は上昇し続けているので、病院給食の経営はとても難しくなっています。「どうしたらいいんだろう。」と悩むも、安価な食材への変更は既にしているし、人件費もこれ以上削るところはない。というのが、多くの人の実感だと思います。
病院・施設給食の問題点と対応
今月号を読んでみて、病院や施設の給食の問題点や、それに対しての考えうる対応について、私なりにざっくりまとめると以下のようになりました。
病院・施設給食の問題点
・給食の問題は可視化されつつあるが、対策が十分でなく、手探りの状態
・病院の食事は食事療養の多様化で人手が必要だが、経営改善のためには効率化が必要 (二律背反な状況)
・厨房での働き手がいなくなる未来が見えている(すぐ先に)
・大抵の委託の給食コンペは価格優先→安かろう悪かろうになる
・委託の限界が見えてきている
考えうる対応
・地域内の統一食事基準や献立の必要性
・効率化を目指す(ニュークックチルやセントラルキッチン(CK))
・部門のビジョンと理念・方針を明確に打ち出して、実現のために実行する
・人がやめない職場づくり
実際に病院で働いていると身としては、体感している問題を言語化してくださっていると感じる内容でした。
目新しい情報が満載というより、「みんなでこの問題意識を共有して、業界全体で抜本的改革をしていこうよ」と言われていると感じました。
今のままでは、給食を維持できそうにはない。という感覚は自分にもありながらも、じゃあどうすべきなのか。という具体策はなかなか思いつかず悩んでいたところでした。
実際、病院・施設給食の問題は、いち施設のそれぞれの問題というより、診療報酬、医療・介護全体の問題も多いため、業界全体で真剣に考えるべきなのだろうと思っています。
また、病院や施設では管理栄養士が1人や少数である場合が多く、病院内で考える際も、厨房の努力不足のように扱われることもありますが、臨床栄養という雑誌でこのように扱ってもらうことで、私たちの努力だけではなかなか難しい部分があるということを知ってもらえることができる大切な回だなと思いました。
実際に私が感じている問題点
実際に私が病院に勤務し、直営で給食を運営していて感じる問題点をあげてみます。
病院・施設給食が簡単な調理業務と思われがち
調理員さんの求人を出すと、「給食つくるなら私にもできそう!家でいつもごはん作ってるから」と応募される方も多いのですが、病院の給食は大量調理衛生管理マニュアルに基づいた衛生管理を行いながら調理します。
まず、これを覚えて実行するのは結構大変です。また、食種、食形態の種類も多いため、食札(それぞれ患者さんの食事について書かれた名札のようなもの)を覚えることもとても大変です。
実際に調理をするよりも、衛生管理や食種の把握のところで「この仕事は難しくて無理」と言われることもあります。しかし、経理や採用側は、「調理は、元気であれば誰でもOK!」のように考えている節があり、現場と採用の認識に乖離があると感じています(面接には栄養士も参加しますが、「調理従事者は応募がないのに、選り好みし過ぎ」のようなことを言われたこともあります)。
かかるお金は増えても収入は増えない
食材料費の高騰や人件費の上昇などで、支出は増えても、入院時食事療養費は上がらないので、収入は増えません。
食材料費の高騰
食材料費は最近、特に上昇しています。
コロナ、ウクライナ侵攻で物価が上がったこともあり、業者さんから、「すみません。また値上げです」と毎週のように言われています。
安価な食材への変更といっても、給食経営が厳しいのは、今に始まったことではないため、既にどの機関でも行われており、これ以上何に変えればよいのやら、、という具合です。
人件費の高騰
給食に限らず、さまざまな職種で人件費は上がっています。
給食部門は、赤字だし、調理は簡単な業務と思われがちのため、経営者に、「パートを採用して」と言われることもあると思います。しかし調理従事者はなかなか応募がなく、(うちは1人の採用に半年かかったこともありました。)結局、正社員の採用に踏み切るなど、人件費も上昇しており、この点も赤字を増やす原因になっています。
入院時食事療養費は上がらない(2025年問題)
給食経営が大変であることは、業界では少しずつ認知されてきていますが、入院時食事療養費が上がることはないだろうといわれています。
医療費が国家予算と同額になるという、「2025年問題」がすぐそこに迫っており、医療費にこれだけお金がかかっている今、「入院時食事療養費を上げてくれ!」と声高に言ってもしょうがない。という状況です。
国から病院給食にこれ以上お金は支払われない。しかし、必要なお金はかかる一方という状況を考えると、それぞれの病院・施設の地道な努力による改善は限界であると言えます。
食事の多様化・個別対応・おいしさ・衛生管理は求められるが、そこにお金は払われない
単純に食材料費が上がるのに、入院時食事療養費という収入が増えないことも負担ですが、それだけでなく、食事のクオリティは求められるがそこにも何も支払われないため、単純にそのまま現場の負担になっているということです。
食事療法としての各食種の治療食、食形態の多様化、それぞれの患者さんへの個人対応、おいしさは求められるばかりですし、現場としても、できる限り対応して、患者さんに合った食事を美味しく食べてもらいたいという気持ちを持っています。さらに食中毒が発生すれば、患者さんの命にもかかわる重大な事故になるため、衛生管理も必要です。
衛生管理などに必要な備品や経費がかりることはもちろんですが、これらの細かくて多様な業務ができる人材が病院給食の現場に必要であるが採用が難しいことも問題になっていると思います。
人件費削減のためにパートを募集せよと言われても、高齢で、大量調理は未経験という方がこられても、実務はかなり難しいと感じています。比較的覚えの早い若い方を採用したいと思っても、調理は暑いし大変な重労働と感じている人が多く、応募はめったにありません。給食に求められていることは十分に分かっているし、それを実践したいという気持ちも強くありますが、実践するのはかなり大変という現状があります。
調理員さんのやる気向上の難しさ
調理員さんの仕事に対してのやる気やモチベーションを高め、維持することが難しいなと感じています。
調理の仕事へ応募される方で、「どうしても病院で給食をつくりたいんです!」という強い意思をもっておられる方は少ないと感じています。「パソコンは使えないし、レジ打ちも最近は難しそう。調理なら家でも食事をつくっているし」と応募される方が多い印象です。それでも応募をもらって採用できることは、とてもありがたいのですが、ある程度仕事を続けるうちに、仕事の煩雑さや忙しさに疲れ、仕事へのやる気が失われることが多々あります。そもそも「ぜひ病院で給食をつくりたい!」という気持ちで入職していない方もおられるため、厨房という閉鎖的な場所で、毎日ひたすら調理を繰り返すことに、仕事へのやりがいやモチベーションを持ってもらうということが難しいなと感じています。
自分にできること
給食業界には抜本的な改革が必要であるという気持ちはありますが、そうは言っても、365日、朝昼晩と食事は提供されるため、自分たちの病院・施設で、できることは常に考えて、実行していかなければなりません。私は、食事の面と、働く人の面の二つの面から考えています。
自分たちの病院・施設にあった食事を考える(手放せるものはなにか)
学校や研修で、食事について学ぶ時、急性期の大きい病院の理想的な衛生管理と食事提供を見させてもらうことが多いですし、施設などで、素晴らしい食事を提供されているところは、施設長が食べることを重要視している。というケースも多いのではないかと感じています(ゆがんだ認知かもしれませんが)。
そのような例をみて、あんな風にしたい!とポジティブに改善できる場合はいいですが、現状をふまえずに理想を追い求めると、頑張ったのに、思った成果が得られないということにもなりえます。私自身、入職時から数年は、研修会やたくさんの本から、理想像をつくり、それに向けて行動していましたが、病院にそこまで求められていない、現実とかけ離れていては難しいし、続かないという体験を繰り返しました。
そこから、私たちの病院の特性から自分たちの給食はどうあるべきか考えることにしました。
・患者さんの年齢層とそれにあう嗜好の検討
・調理従事者の人数と能力、やる気
・栄養士として給食への「こだわりすぎ」はないか
などを意識して、やりたい、こうすべきばかりを盛り込まず、自分たちに合った給食提供のために手放せるものはなにかを考え、実施しています。
既製品の上手な使い方を考える
当院は前職の栄養士さんが手作りにこだわっていた方で給食は美味しいと評判でしたが、労働量が多く、食材料費も高いという問題点があり、経理からも指摘されていました。全て手作りのクックサーブはもちろん美味しいですが、現実的ではないため、既製品と手作りのちょうどいいところを模索しています。
・マヨネーズ系サラダは胡瓜だけ生
・ハンバーグは具の野菜はカット野菜で混ぜて成形して焼く
・スープはカット野菜で汁のみつくる
・美味しい既製品の探求
ポテトサラダ、マカロニサラダ、スパゲッティサラダなどのマヨネーズ系のサラダは、手作りできれば最高ですが、煩雑なのにメインではないという悲しい点があります。しかし、既製品は味も舌ざわりもどれも同じに感じてしまうので胡瓜のみ、スライサーでカットして塩もみして入れるとグッと手作り感がでます。
食数の多い病院や施設でハンバーグなんて作ってられるかと思うと思いますが、当院は食数が少ないので、ハンバーグは手作りしています。その分野菜などは全く切らずにすべてみじん切り野菜を混ぜて成形し、オーブンで焼いています。ハンバーグを手作りで出すと、これまで手作りなの?と喜んでもらえます。
そして、美味しい既製品を常に探しています。食品営業の方が色々なサンプルや新商品を紹介してくれますが、必ず食べて、値段、栄養量、美味しさのバランスを考えて採用できそうなものを検討します。食品の既製品は常に進化しているので、前回いまいちと思ったものでも、改良されてとても美味しくなっていたり、既製品と分からないかも?というものもあるので、そのようなものを常に探しています。
完全調理済み食品(OEM)入れるか入れないか
最近は、委託業者よりも、セントラルキッチンで作られたものを搬入する業者の営業が増えてきました。
献立の立てられた、完全調理済みの食品を搬入し、トレイメイクのみして提供するものや、再加熱カートごと搬入してもらうことで、トレイメイクどころか食器洗浄すら必要ないという業者も出てきて、時代の移り変わりを実感しています。当院は食数も少ないため、収入は少ないのに、病院であるため、一般食から特別食、食形態も、常菜、軟菜、粗刻み、刻み、ミキサー、ムース食と、とても細かい対応をおり、食数が少なくても、調理員さんは必要という辛い状態です。このような業者にお願いすれば、問題も一気に解決!というような気もしますが、一度このような業者さんにお願いすることになると、その後、食事に対して問題を感じても、もう一度直営に戻したり、委託業者にお願いすることはとても難しいだろうと思います。
また、ニュークックチルを導入しても、再加熱に向かない料理は、結局当日に調理して出すなどの話も聞きます。調理済み食品のみで給食が完結しなければ、結局人件費がかかる。2度手間などの問題もあるため、慎重に検討して採用する必要があるなと感じています。
既製品を使って、自分たちでOEMに近いものができるか検証する
当院であれば、調理工程が簡単なものだけクックサーブ、他は既製品。など既製品の使用割合を高めるなどして作業を単純化して人件費を削減しながら、どうにもならなくなったら完全調理済み食品(OEM)の導入かな。と感じています。あまりに食数が少ないと業者側から断られる可能性もあるそうですが、完全調理済み食品(OEM)に変えるのか比較的簡単でも、OEMから直営に変えることはとても難しいと思うので、なんとか自分たちでできる方法も考えながら、完全調理済み食品(OEM)の情報もしっかり持っておくことが必要だと思っています。実際に営業にこられた業者さんともお話し、現時点で変更する予定はないことも伝えつつ、完全調理済み食品(OEM)を採用する場合は、どのような流れになるのか話を聞いています。
サイクルメニューは何日必要?1食で何品必要?
長いサイクルメニューが本当に必要なのかという問いは自分たちの病院・施設から見てみて考える必要がある問題だと思います。自分の食事におきかえて考えてみても、家で1か月同じメニューがでないなんてことは少ないと思います。「毎日違うメニューだけど、イマイチな献立がある」より、「サイクル期間は短くてもどれも美味しい」方がうれしいと思います。そして、患者さんの年齢や性別によって美味しいと感じる料理は違うという視点も大切です。当院は超高齢者が多く、看護師さんからよく「年寄りはね、毎日毎日色んなものを出さなくても、魚の塩焼きとみそ汁と冷奴があればいいのよ」「品数たくさんあってもそんなにたべられないよ」と言われていました。もちろんそのような方だけではないことは、お互い承知していますが、確かに食べなじみのある献立の方が喫食率がよいし、品数が多くても食べられないと患者さんに言われたこともあります。
サイクルメニューは長い方がいい。品数が少ないとおぼんが寂しい。という理想や思い込みがありましたが、それを一度手放して考えてみた方が、患者さんにとっても、自分たちにとっても良いのではないかと感じています。
実際に、品数を減らしてみると、野菜の量の関係で1品ずつが少し多めにはなることもありますが、1品にしっかり味がつけられるので、1つ1つの料理がおいしくなったと感じています。自分が患者であれば、品数多いが味の薄い料理より、品数が少ないが美味しい料理の方がうれしいと思います。
味がいい、品数が多い、メニューが豊富、調理工程が簡単、なんていう完璧な献立をたてることは、私はできないので、これらの優性順位を考えながら患者さんに喜ばれる食事を病院食として提供したいと感じています。
調理員の募集の工夫
調理員さんの募集は、年齢性別不問、資格や経歴などはとくに問わないという求人が多いと思います。実際、とにかく誰かきて!のような状態の時もありますが、そんな時こそ、どんな人にきてほしいのか、どんな求人であれば自分が応募したいかを考えて求人を出しています。
前回の募集はパートさんで昼間に働いてくれる方を募集しました。9:00-14:00として、勤務時間としては働きやすい時間ですが、特別時給が良いわけではないので、採用に苦戦しました。
どんな人にきてほしいのか ・比較的若い方で、調理、衛生管理の業務が覚えられる人 こちらが提供できるメリット ・急用があっても休めるように対応する(頻繁では困るけど) ・休みの希望はしっかり出せる →小さい子がいるが扶養の範囲内で働きたい方 をターゲットに求人を出しました。
食数が少ない分、下処理、調理、ソフト食の作成までいろいろな細かい業務を覚えることができる人材が欲しいという気持ちがあり、その分、その人に急遽休みが必要になればみんなでなんとかするという考えを、調理員さんと栄養士で一致させて求人を出しました。自分の年齢層とも近いため、周りの友人がどのような求人を求めているか考えてみると、急な子供の体調不良や行事などでも休める環境、人間関係が良好であることが大切であると感じ、そのような要望がかなうという内容の求人を出し、こちらの求めていた人材を採用できました。(半年かかりましたが(笑))、採用後、急な場合でも休めるということが心強かったと言ってもらえたので、経理にも求人内容に細かい注文をつけたり、求人内容をこちらに書かせてほしいと言って自分たちの提供できるメリットを記載した甲斐があったと思います。採用したい人がどんな人なのか、その人が何を求めているのかを意識して求人を出すことが大切だと思います。
調理員さんの意見が言える環境をつくる
管理栄養士として、給食業務に栄養管理業務と頑張りながら、調理員さんに、「調理が大変すぎる、もっとこうしてほしい、ああしてくれ」などといわれることは、なかなか辛いことではあります。すでに調理員さんの負担を増やさないように自分ではかなりがんばっているつもりなのに、「それでは全然です」と言われているようで悲しくなることも多々あります。しかし、管理栄養士と調理員さんでは立場が違うので、調理員さんが意見を言える環境は大切にしなければならないとも思っています。自分が調理員さんの立場で、管理栄養士がとても高圧的であったり、自分の意見を聞くことすらしてくれない。と感じる人ではその人のもとで働きたくないだろうと思います。
当院では管理栄養士は、病院から求められることは何か、患者さんの栄養、収支など全体的な視点から給食業務を考えますが、調理員さんは現場で頑張っている分、調理のみの部分的な視点が多いです。これはどちらかだけが大事なのでなくて、両方とも大切で、そのバランスをとることが大切だと感じています。また、認識の共有も必要で、管理栄養士は「このように決定しました」だけではなく、「全体的な視点からこのように考えました」という考えたことへの前提の共有も必要だと思っています。それと同時に現場の人の「部分の声」も大切であると意識して話を聴きます。
現実には、調理員さんからの意見に「自分の仕事を増やしたくないだけじゃん」と感じてしまうことも多いです(偉そうなことをいいながらめちゃくちゃ未熟です)。仏のように穏やかな気持ちで調理員さんの要望や意見を聞けない未熟者ですが、調理員さんがちゃんと意見が言える環境を維持するということは大切にしておきたいと思っています。
一緒に働く調理員さんに何が提供できるか
「調理員さんのやる気向上の難しさ」にも書いたように、そもそも「病院給食をつくりたい!」という高いモチベーションを持って入職される方が少ないため、やる気があまりないことから、職場への要望が多くなることもあると思います。そのため、どうやったらこの仕事にやりがいをもってもらえるかな。と考えています。
当院でやっていることは、
・患者さんの食べる姿を定期的に一緒にみる。
・患者さんや他部署からのお褒めの言葉はどんどん伝える。
今後やっていきたいことは、
・衛生面に関する知識の習得
・治療食に関する知識と技術の習得
・嚥下訓練食に関する知識と技術の習得
などです。これらの知識や技術は病院・施設での給食業務以外にも、親族や身近な方への食事提供にも役立ちますし、介護食などにも役立つと思います。
病院はなかなかつぶれないとは言いますが、給食業界はいつどうなるか分からない状況でもあると思います。私は、一緒に働いてくれている方々が、ここでの仕事がプラスになるような知識と経験を提供できればいいなと考えています。大量調理は、言われた通り、工程表通りに仕事をすればいいという面もある仕事ですが、自分が病院の業務の大切な一部を担っているという意識がもてるような働きかけと、ここでの経験はもし転職するとしても役に立つという自信になるような仕事が一緒にできるといいなと思っています。そのためには、ただ調理してくれる人として雇うのではなく、ともに働く大切な仲間であり、ここで働くことは、この人のキャリアの一部になるのだという意識でなにが提供できるのか考えたいなと思っています。
まとめ
2022年4月号の臨床栄養を読んで、自分が感じている問題意識や危機感は業界全体のものなのだと再確認しました。給食業界の大変な状況は一時的なものではないため、この状況を放置しても、良くなることはないと思います。どんな未来がやってくるのか予測し、準備しておくことは大切だと感じました。2022年4月号は、給食業界の現状把握と未来予測がされている回だと思うので、給食業務に関わる全ての人、病院・施設に関わる全ての人に読んでもらい現状の大変さを共有できたらいいなと思います。
そして、自分の業務を再確認し、今の業務内容は本当に必要なのか、監査やマニュアルの奴隷になっていないか。サイクルメニューの日数、献立内容、品数など、「これって本当に必要なんだっけ?」と問い直し、少しでも改善点を見つけ出せたら良いと感じました。
また、調理員さんの教育についても真剣に考えることが結果的に食事の質の向上につながるのかもしれません。自分たちにとって扱いやすい人というのではなく、ミッションビジョンを打ち出して、仕事にやる気を持ってもらうこと、他の施設や業界でも活躍できるような、調理員さん一人ひとりのことを考えた教育ができたらと思います。
患者さんや他職種とコミュニケーションをとって、自分の病院にとってベストの給食はなにか探求してみようと感じた1冊でした。みなさんもぜひ読んでみて下さい。https://eiyoninaru.com/engesyoku-recipe/
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