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【約束食事箋の作成】~加重平均、食料構成、献立についても詳しく解説~

約束食事箋

病院や施設など、食事を提供している機関であれば、約束食事箋があると思います。

しかし、入職時から約束食事箋があり、作成や改定をしたことがない方は以外とおられます。

今回は、約束食事箋の作り方と、それに関わるポイントである、加重平均、食料構成、献立についても詳しく解説します。

約束食事箋について~加重平均、食料構成、献立についても解説~

早速、約束食事箋とは何か、加重平均、食料構成、献立についても解説していきます。

約束食事箋とは

患者さんの食事について、院内での取り決めを記したもので、具体的には、提供する栄養量や食品構成などを記したものです。

病院給食は治療の一環であるため、それぞれの患者さんの疾患や身体の状況に合わせて、食事内容が決定されます。

患者さんの食事は医師によって決められますが、全ての患者さんに個別の食事を提供することは難しいです。

そのために約束食事箋があり、約束食事箋の中から患者さまに合った食種を選んで提供します。つまり、実際に患者さんに提供する食事の献立は、約束食事箋をもとに作成する必要があり、約束食事箋は病院給食の大切な基礎となるものです。

約束食事箋の種類

 約束食事箋には病態別(疾患別)約束食事箋成分別約束食事箋の2種類があります。

病態別約束食事箋

 糖尿病食、腎臓病食、肝臓病食など、病名に適応した食種です。医療従事者や患者さんへの周知や、特別食加算算定の有無が分かりやすいというメリットがあります。しかし、疾患ごと食種を分けると食種が多くなりやすいというデメリットもあります。

成分別約束食事箋

 エネルギーコントロール食、たんぱく質コントロール食、脂質コントロール食など、栄養学的な食事の特徴から食種を分けるものです。

成分別約束食事箋によって食種を分けることで、他職種でも、たんぱく質が制限されている。など、食種をみただけで理解できるというメリットや、病態別の約束食事箋では糖尿病食、脂質異常症食、肥満症食などに分けられていたものがエネルギーコントロール食としてまとめることができ、食種が増えすぎないというメリットもあります。

しかし、特別食加算を算定する時に、同じ食種であっても、疾患によって特別食加算の算定が、できたりできなかったりするため、多職種で理解する必要があります。

例えば、同じ減塩食として提供したとしても、高血圧症の場合は特別食加算は算定できませんが、心臓病の場合は特別食加算が算定できます(心臓病の食事は水分制限などが必要な場合もありますが)。このことを多職種で理解しておくことが必要になります。

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ちなみに当院では病態別(疾患別)約束食事箋を採用しています。職員にベテランが多く、とにかく特別食加算、非加算が分かりやすい方がよいという理由からです。もちろんどちらであっても、食事の内容が変わるわけではないので、自身の病院や施設に合う方を採用するとよいでしょう。

約束食事箋の作り方

 いよいよ約束食事箋の作り方に入っていきます。

約束食事箋は下の図のようなものです。

約束食事箋(例)
引用 https://www.dietitian.or.jp/data/report/h24-3.pdf 日本栄養士会HPより

 

このように、1つ1つの食種に対して栄養量が決められます。

約束食事箋の作成の流れは以下の通りです。

  1. 食種を決める
  2. 食種の栄養素量を決める
  3. 食品群別荷重平均栄養成分表の作成
  4. 食品構成表(食料構成表)の作成
  5. 献立の作成
  6. 見直し

3からとりかかることもあるかもしれませんが、ひとまずこの順で考えてみます。

1.2を決めていきなり献立作成に取り掛かると、約束食事箋と照らし合わせて、この栄養素が多い、足りない、、などと繰り返すのはとても大変です。さらにこれを何十種類もある各食種ごとで行うのは途方もない作業であるため、以下の手順で約束食事箋、献立を作成することが一般的です。

haru
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よし!でーきた! あれ?エネルギー多すぎるし、たんぱく質足りない、、、やり直し!?

食種の決定

 自身の病院の約束食事箋にどんな食種を入れるのか決定します。通常、栄養士1人で決めるのではなく、栄養管理会議など病院全体で決定することが多いと思いますが、基本的なものは栄養士が準備し、院内全体で検討してもらうという想定をしています。

各食種の具体的な栄養量の決定

具体的な栄養量は以下のように決めることが一般的です。

一般食:患者さんの性別や、年齢構成から、日本人の食事摂取基準を基に、エネルギー量、たんぱく質量など各栄養素量を決定する。
特別食診療報酬に記載されている栄養量や、各疾患のガイドラインに基づいた栄養量をもとに決定する。
このようにして、それぞれの食種の栄養量が決定します。

食品群別荷重平均栄養成分表の作成

食種とその栄養量が決まり、献立作成にとりかかりたいところですが、献立作成には、食品群別加重平均栄養成分表の作成が必要です。

食品群別加重平均栄養成分表とは

食品群別加重平均成分表とは以下のように定義されています。

 食品群別荷重平均栄養成分表とは、一定期間の実施献立から食品別数量を求め、各食品群ごとに食品の使用量及び構成比率を求めます。この比率を重量(g)に置き換えて、それぞれの栄養量を算出し、これを合計すれば 100g 当たりの食品群別荷重平均成分値が求められます。

https://www.pref.saga.lg.jp/kiji00334542/3_34542_192354_up_08dihw5w.pdf(佐賀県HPより)

例えば緑黄色野菜のグループで、人参と葱の使用量は大きく違うのに、人参も葱も全部一緒に緑黄色野菜の単純な平均値を出すのでは意味がないですよね。使用量が、人参は100gで葱は10gなら、それぞれの使用量に合わせたグループの平均値を出すのが、食品群別荷重平均栄養成分表です。

haru
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つまり、単純な食品グループの平均ではなくて、使用量も加味した平均ということですね。

食品群別加重平均成分の算出方法

 それぞれの食品が一定期間の献立の中(35日間とか)でどのくらい使われているのか出す。
  (人参は〇g使われている鶏もも肉は〇g使われている、、、)など

 ①で出した食品をグループ分け(野菜類、魚介類、肉類など)してグループ内の合計量を出す。

 ②で出した合計量に対して、それぞれの食品の使用割合を出す。
  (野菜類なら、人参〇%、キャベツ〇%、胡瓜〇%、など、、)


 ③で出した割合に合わせて食品の栄養価を計算し、それを合計する。

 食品群100g当たりの加重平均の成分値になる。

このようにそれぞれの食品群の栄養量を出しておくことで、次に食品構成表をつくりやすくなり、食品構成表をつくることで献立が立てやすくなります。

食品群別荷重平均栄養成分表(例)
https://www.city.suita.osaka.jp/var/rev0/0506/5339/1214914424.pdf
haru
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加重平均出す → 食料構成表つくる → 献立を立てる の順番ですね

 最近は、栄養計算ソフトで献立や食数を管理している施設が大半であり、ソフトで食品群別荷重平均栄養成分値を出すのは、期間と食種を指定すれば一瞬で出てきます。しかし、食品群別荷重平均栄養成分表は約束食事箋、献立作成の基礎であるため、意味を理解しておくことは約束食事箋をより理解するために必要です。

食品群別荷重平均栄養成分が出せないなら食品群別栄養素等摂取量を使用できる

もし、栄養計算ソフトもない!けど荷重平均栄養成分表を1から作るのは難しい。というときは、国民健康・栄養調査で食品群別栄養素等摂取量を調査しています。

このデータを持ってきて、食品群別荷重平均栄養成分表を作成することができます。このデータは厚生労働省のホームページからエクセルでダウンロードすることができます。これを仮の食品群別荷重平均栄養成分の値として、食料構成表を作成し、献立を立ててみるという方法もあると思います。実際に自身の施設で使っている食材の比率とは違ってくるため、誤差は出てくると思いますが、おおよその目安として利用し、そこから献立を立てて実施してみて、実際の自身の施設の食品群別荷重平均栄養成分表が作れると良いと思います。以下が国民健康・栄養調査のリンクです。

国民健康・栄養調査|厚生労働省
国民健康・栄養調査について紹介しています。

食品構成表(食料構成表)の作成

 食品構成とは、要求された栄養計画に従って食品群別荷重平均栄養成分値を用いて食品群別にエネルギー・栄養素量をふりあてること、すなわち食品配分の計画書であり、献立作成の指針となるものである。

-臨床栄養学実習書 第10版-

 それぞれの食種(糖尿病食、腎臓病食など)の栄養量を満たす献立を立てるために、各食品群をどのくらい使うかを決めたものが食品構成表ということです。

さきに食品群別荷重平均栄養成分表を作っているので、各食品群の栄養計算が出来ています。これをもとに各食種の食品群の使用量を決めること(野菜類〇g肉類〇gなど)で、おおよその栄養素量が求められます。

食種ごとの必要栄養素量と照らし合わせながら、食品構成を決めていきます。以下に例を示しています。

これは一般食の1600kcalを想定しています。このように各食品群の摂取量(目標量)を入れて、栄養量を出してみます。

各食品群の具体的な量を決めていく時のポイント

  • PFCバランス
  • 穀類量とエネルギー比
  • たんぱく質量と内訳
  • 脂質量と内訳

これらのポイントに注意しながら食料構成表を作成します。

PFCバランスを考える

糖質、たんぱく質、脂質のバランスを決定します。疾患や対象者によって異なりますが、一般的には、糖質60%、たんぱく質15%、脂質25%になるかと思います。

上記の例では
糖質:62% (うち穀類エネルギー比は52%)
たんぱく質:15%
脂質:23%
のバランスで穀類エネルギー比は52%になっています。

穀類量とエネルギー比

上記の表の例から考えていきます。

1600kcalの主食の量を考える

 糖質62%:992kcal (穀類エネルギー比52%:832kcal)
 832kcal÷3食=277kcal
 277kcalの米は約80g(飯で約180g)
なので主食は米で80g(飯だと180g)と決めていきます。

1食当たりの主食は約270kcalになりました。主食をパンにする場合は、ここにパンのエネルギー量を当てはめます。

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米は1食当たり〇gで、朝はパンにして、毎週水曜日は麺類なので、、など考えて当てはめていくとおおよその主食の栄養量が出てきます。

たんぱく質量と内訳

ここではたんぱく質の「量」とたんぱく質の「質」について考えます。具体的には、たんぱく質量動物性たんぱく比植物性タンパク比を考慮しながら、食料構成量を考えていきます。

動物性たんぱく質と植物性たんぱく質の比率

日本人の食事摂取基準では、この比率は示されていませんが、偏らないように考えます。

動物性たんぱく質
 魚介類、肉類、卵類、乳、乳製品
植物性たんぱく質
 豆類、穀類、いも類、種実類、野菜類、くだもの、藻類

毎日牛乳を出すから乳類は200g

1食の肉や魚の使用量が60gか70gだな、1週間に6回魚を使うと、60g×6回÷7日=約50gで食料構成表には50gでいれてみようなどと考えると簡単かもしれません。

そのように食料構成表に入れてみてたんぱく質量や比率をみて、多すぎ、少なすぎなどあれば改善すると良いと思います。

脂質量

脂質量は、穀類、たんぱく質量と決定してから決めます。これまで決定した食品には、脂質も含まれているので、それらの脂質を合計します。今回は1600kcal、25%にしています。上記の表のものです。

穀類の脂質動物性たんぱく質の脂質植物性たんぱく質の脂質油脂類合計
7g23.6g4.7g10.2g45.5g

油脂類以外の合計を出してみて、最後に1600kcalの25%(44g)になるように油脂類で調整するとよいです。(これは45.5gになっていますが)

多くの施設ではボタン1つででてくる

 実際は、栄養計算ソフトを使用している病院や施設が多いため、食品群別荷重平均栄養成分表も期間を指定してボタンを押すだけで簡単に算出することができますし、それをもとに食料構成を考える際も、数字を入れながら画面上で各栄養素の過不足を確認しながら食料構成表を作成することができる施設が多いとは思います。

 実際に大学時代の教科書を引っ張り出してきて勉強しなおしながら食料構成表まで作成しましたが、これで合っているのか。と不安が絶えませんでした。学生時代の教科書も参考になりましたが、関連する本も色々読んで参考にしました。実際に自身の病院の食品群別荷重平均栄養成分表や食料構成表を載せておられる先生もおり、それらの食種を参考にしながら自分の病院にあった食料構成表を作成しました。とても参考になったので、ページの最後に紹介しておきます。

献立を立てる

 長い道のりを経て、ようやく献立作成までたどり着きました。ここからやみくもに献立を立てては今までの意味がないので、③で作った食料構成表をもとに献立の骨組みを作っていきます。

 例にしている食料構成表の肉類は1日45gとなっています。1日45gであれば1週間では45g×7日で315gになります。1週間の3食の献立の中で315g使用するので、1回60gとすると、315g÷60g=5.25回となり、1週間のうち5回主菜として肉類を使用して、15gは副菜の中に入れる。などとして献立を立てて行きます。

これは大豆・肉・魚・卵を順番に並べただけなので、各施設に合わせて、振り分けて下さい。私は食料構成表が完成したら、このように主菜を決めて献立を立てていきました。

その他の食品も同じで、野菜や果物をいつの何g提供するのか、揚げ物や油を多く使う献立は週に何回できるのかなど、食料構成表と照らし合わせながら決めていきました。

見直し

 献立が完成したら、栄養素量を確認して、各食種の決めた目標栄養量を満たせているか、動たんぱく比、動脂質比、PFCバランスなど全体のバランスも確認していきます。食料構成表と献立が大きく乖離していないか?約束食事箋で設定した栄養量を満たせているか?など確認し、ぴったりである必要はありませんが、大きく乖離している場合は献立を直すか、目標の栄養量はこれで正しいのか、約束食事箋の栄養量を再検討します。このようにして献立と約束食事箋が完成し、実際に患者さんに提供する食事が約束食事箋に沿った治療食となります。

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実際に患者さんが食べる食事が、ちゃんと医師が求めている治療食になりますね。

改定のタイミング

 約束食事箋は給食の基礎となるものであり、完成後、頻繁に改定するものではありません。だからこそしっかり調べて、考え、作成する必要がありますし、院内の承認を得て運用されると思います。

 改定のタイミングは日本人の食事摂取基準の改定時、各疾患のガイドラインの改定時は、推奨量が変わったり、ガイドラインで設定されていた栄養量が変更となる場合があるので、必ず確認し、必要があれば改定します。日本人の食事摂取基準は5年ごとに出されるのでわかりやすいですが、食種に関わる各疾患のガイドラインの変更には注意を払っておく必要があります。

 そのような変更がない時でも当院では、毎年10月に、食品群別荷重平均栄養成分表を出し、食料構成表に反映して、栄養量を確認します。そして約束食事箋と照らし合わせて確認し、約束食事箋と献立はこのままで大丈夫か確認しています。また、院内の状況と乖離している点はないか、改定するべき点はないかも確認しています。また、サイクルメニューの内容を大きく変える時にも行います。

約束食事箋の作成・改定に悩んだら

 入職してみたら、約束食事箋が機能していなかった、全く改定されていなかった、などの経験がある人もいると思います。管理栄養士は1人職場も多く、なかなか人に聞けず悩むこともあると思います。私の場合は学生時代の教科書で基礎を学びなおし、関係する書籍を探して勉強したことがとても役に立ちました。約束食事箋のことで困ったら、この本を読んでみるといいのではと思うので紹介しておきます。

とても参考になった書籍

 ・約束食事箋の作成と献立展開のコツ: マンネリ化しないサイクルメニュー (ニュートリションケア2013年秋季増刊) 単行本 – 2013/10/14

 1から約束食事箋を作るにあたってもっとも重宝しました。食品群別荷重平均栄養成分表とは?食料構成とは?から学びなおすのにも役立ち、実際に書かれている先生方の病院の食料構成表や約束食事箋、献立なども記載されているため、参考にさせてもらいました。自分で約束食事箋を作った時、食料構成表ができた時に照らし合わせて大きな差異はないか、あればそれはなぜなのか考える手助けになりました。約束食事箋を作ったり、大きく改変される方にぜひおすすめしたい本です。

ニュートリションケア 2018年11月号(第11巻11号)特集:管理栄養士のキホン 入院時食事療養と給食業務スキルアップ 

約束食事箋、食品群別荷重平均栄養成分表、食料構成表について分かりやすく説明されています。それだけでなく、給食業務や監査に関わることについても記載があり、とても参考になりました。

ネットにある情報も参考になる

 ネット上にもいろいろな病院が約束食事箋をアップしているので、それをたくさん見比べて、参考にできると思います。地域性やそれぞれの施設の特性も、もちろんありますが、多くの病院や施設は、日本人の食事摂取基準や各疾患のガイドラインにそった約束食事箋を作成しているので、大きく変わることはないと思います。

 施設の規模により、栄養計算ソフトを入れてもらうことができない施設もあると思います。高額なソフトを買うことが難しい場合は、ネットやこれらの本を参考にすると自分の施設の食料構成表を作成し、献立を立てることができるのではないかと思います。

このような流れで自分で教科書から学びなおし、本やネットを参考にしながらなんとか約束食事箋を作成することができました。

大切なことは?数字が満たされれば良い約束食事箋なのか

 ここまで約束食事箋の作成の仕方を食品群別荷重平均栄養成分表、食料構成表などと合わせてお話してきました。このような手順をたどれば、大変ではあるものの約束食事箋の作成ができると思います。ここまでは数字を追って、栄養量を満たすということに重心を置いて考えがちです。しかし、これを経て、提供される給食を召し上がるのは患者さん、利用者さんです。私は実際に約束食事箋を1から作成してみて、栄養量が満たせた場合でも、自分の病院の患者さんはこの給食を食べたいだろうかという葛藤や悩みもたくさんありました。決められた栄養量を満たすために全体のボリュームが増えても、塩分は制限するため、味気ない献立になったり、高齢者が多い病院なのにこんなにたくさん食べられないな、見た目や皿数を意識しすぎると、味が薄くなりやすいな。など、献立を立てる時には多くの人が悩まれると思います。

 診療報酬、介護報酬で収入を得ている機関としては、診療報酬で決められた栄養量を無視することはできませんが、その中でも数字に囚われすぎず、常に患者さんの食事の様子を観察したり、お話しながら、病院での食事への感想や要望を受け取って、献立に生かなければならないなと思っています。数字を満たせた献立を立てられても、食べてもらえなければ身体で栄養にはならないという意識を持ち、本来の目的は何なのかを考えて自己満足的な献立にならないように気を付けたいと思っています。そのためにも、約束食事箋、食料構成が理想的になりすぎていないか、自分の病院や施設の現状も考えながら見直していく必要もあるのかなと思っています。

まとめ

 以上が約束食事箋を作成するにあたっての全体の流れでした。

  • それぞれの食種の具体的な栄養量を決める(日本人の食事摂取基準や各疾患のガイドラインを参考に)
  • 食品群別荷重平均栄養成分表を作成する
  • 食品構成表(食料構成表)を作成する
  • 献立を作成する
  • 見直しをする

これを実践しようと思ったとき、参考になる本やネットの情報がたくさんあるので、探してみましょう。病院や施設は医師の指示のもとで食事が提供されるため、約束食事箋はあって当たり前だと思われるかもしれませんが、自分が一から作成する時、改定される際にはもう一度、目的や意味(何のために作って、どんな役に立つのか)に立ち返って、明確にしておくと、より自分の病院や施設に合った約束食事箋が完成するのではないかと思います。

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